※ジェットロン幼少期捏造妄想です。
「スカイワープは?」
水色の機体が、今日の戦利品を片手に訊ねてくる。
眼下の彼に、スタースクリームは面倒くさそうに答えた。
「寝てる」
顎で示せば、ジャンクヤードの端で四肢を投げ出して眠る同じ顔があった。
訊ねた存在を見つけた彼は、呆れた様に嘆息する。
「もうかよ」
同意する様に鼻を鳴らし傍に降り立てば、全く同じ形の影が二つ、長く伸びた。
「エネルギー盗りに行く度にこれじゃ、意味無ぇってのに」
「・・・だよな」
幼年体の手には少し大きい、流体エネルギーが詰まったボトル。
これを得るために、一体何時間かけた事か。
「けどよぉ、お陰で助かったんだよな」
「・・・てめぇが間抜けだっただけだろ」
サンダークラッカー。
そう小馬鹿にしてやれば、水色の機体は苦笑から不満げな顔へと変わった。
「お前だって、スカイワープに助けられたじゃねぇか。あんなに警備の連中がいてよ、何が完璧な作戦だ!」
「俺は間違ってねえ!!下調べが不十分だったんだ、つまりお前の責任だ!」
「あぁ?!」
暫くの間、睨み合いが続いた。
互いに非は相手にあると譲らずにいたが、ふいに足元に転がっていた機体が唸った。
「何・・・さわいでんだよ・・・・・」
佇む二体と同じ機体。
ただ、色だけが明確に違う。
紫色の機体は、アイセンサーを擦ると一つ、息を吐いた。
そして、同じ顔の二体に向かってぽんぽん、と隣を叩く。
「「・・・・」」
それが何を意味するか、判っている。
今しがたまで睨み合っていた二機は、今度は別の意味で互いの顔を見た。
鏡に映した様に、同じ顔だ。呆れた表情まで、全く同じ。
嘆息さえほぼ同時についてから、二体はゆっくりと示された隣へと腰を下ろした。
間に挟まれる形になった紫色は、満足げに笑う。
そしてそのまま、紫色の機体は再びスリープモードに入ってしまった。
「・・・スタースクリームよぅ」
同型機の手を繋いだまま、水色の機体がぽそりと声をかける。
「・・・なんだよ」
「やっぱり、スカイワープのお陰でスクラップにならなくて済んだんじゃねぇの?」
「・・・・」
生まれの正しいトランスフォーマーなら必ず何処かに所属する。
けれど元からその所属先を持たない自分達にとって、エネルギーを得るには盗みを働くか相応の事をせねばならない。
ろくでなしばかりのこの地域では、真っ当な事をしても正当な報酬は得られないし、弱者に厳しい暗黙のルールが山程あった。
搾取されて終わるともしれなかった自分たちが今までやってこれたのは、生まれながらにして持っていた翼のお陰だ。
今日は、サンダークラッカーが見かけた運搬車からごっそりくすねてやった。
当分は食う物に困らない程の、純正エネルギー。
警備の連中が思ったよりしつこくて、撒くのに随分苦労した。
スカイワープがあの能力を使わなければ、まだ逃げ回っていたかもしれない。
ねぐらに帰ってくるなり、スカイワープはスリープモードに入ってしまった。
あの力は、たくさんエネルギーを使うのだ。
素直に感謝の意を露わにする同型機に、スタースクリームはそっぽを向いた。
「・・・・俺さまの言う事を聞いてりゃ、もっと楽な手段があったんだよ」
「てやんでぃ、お前の『良い考え』は大概ハズレだ」
笑うサンダークラッカーが、ついでにと例のボトルを投げて寄越した。
一瞬戸惑ったが、どうせスカイワープは寝ている。気兼ねなく受け取る事にして、そのまま二体で分け合った。
作戦は100%成功とは言い難かったが、純正エネルギーの味は美味だった。
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子ジェッツ妄想留まるところを知らず(何)。
友達未満兄弟以上な関係です。(どゆこと)