※ジェットロン幼少期捏造妄想です。
2.
「そういえばよぉ、」
ちるちるとオイルを啜りながら、スカイワープがぼやく。
充分に休眠を取った為か、彼は朝から元気だった。
眠っていた他の二機を無理やり起こした揚句、スタースクリームから拳を貰ったのはつい先程の事だが、特に気に留めた様子も無い。
サンダークラッカーは未だ文句を言うスタースクリームを宥めながら、向かいの同機がぼやいた言葉に首を傾げた。
「あ?」
「昨日見たアイツ、何なんだろうな」
三機の中では一番大人びたカラーリングを纏うスカイワープだが、頭の方は外見に追いついていない。
物事を深く考えるという事を、スカイワープは得意としていないのだ――――“それ”は自分ではなく、他の二人が補うから良いのだと言わんばかりの開き直りっぷりで、だ。
スカイワープのぼやきに、他の二機は顔を見合わせる。
昨日は例のエネルギー強奪の件で大騒ぎだった。
一度は三機散り散りになってしまう程の騒動になったのだから、その最中の発見だったならばこんな風に話し出したりはしない筈だ。
そうなると、三機共に行動していた時間の事を言うのだろう。
スカイワープの拙い質問内容と昨日の行動を振り返りながら、漸く思い当たったスタースクリームがああ、と軽く呟いた。
「警備連中んトコから出てきた奴か」
「ええ?俺覚えてねぇぜ」
サンダークラッカーの言葉に、スカイワープが得意げに笑った。
頭を使う事に関して、スタースクリームが飛び抜けて優秀な事は皆理解している。
だがその後に続くのはサンダークラッカーで、スカイワープは大体訊ねる側だ。
それを今回ばかりは記憶力だけとはいえ、スカイワープが覆したのだ。得意げになるのも当たり前だった。
「いや覚えてる筈だぜ。あの青くてデカい機体だ。警備の馬鹿共がやけにヘコヘコしてた」
「んー?・・・ああ、ああ!!」
漸く思い出したらしく、サンダークラッカーが笑う。
その頭を軽く小突きながら、スカイワープがぐいと面を近づけた。
「見ない顔だったよなぁ。なぁスタースクリーム、あれ何だ?」
「状況から考えるとしたら、警備連中より偉い奴って事だろ」
自分の取り分であるオイルボトルの蓋をこじ開けながら、スタースクリームが事も無げに言う。
もしかしたら、まだ眠いのかもしれない。サンダークラッカーは密かに思った。
「ただ上司なのか、または雇い主の取引相手か――――どちらにせよ俺達がああやって引っ掻き回したからな、今頃警備連中はクビだな」
「うわ」
「そうなったらそうなったで、新しい奴らが配属されんだろ?任務慣れしてないうちにまたごっそり頂こうぜ」
「お前にしちゃいい意見だな、スカイワープ」
ちる、とオイルを啜りながらスタースクリームが頷く
リーダーシップを取りたがるスタースクリームは、自分達の中で一番頭が良い。
そのスタースクリームに褒めてもらえただけあって、スカイワープは酷く得意げな顔をしていた。
だがそんなスカイワープのはしゃぎっぷりを余所に、スタースクリームは件の『青い機体』について考えていた。
工場の大屋根の影から、ちらりと見えただけのトランスフォーマー。
自分達の存在は気付かれていない筈だが、言われてみれば確かに気になる存在でもあった。
あれは一体、何なのか。
「・・・」
オイルの補充を終えても、スタースクリームの思考はあの青い機体の事に向いていた。
サンダークラッカーも薄々何を考えているのか判っているのだろう、騒がしいスカイワープを連れ出し席を外してくれた。
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スカワがただの馬鹿な子に・・・!!!
スタスク寝起き悪かったら可愛いよ。ぐずるよ。