※ジェットロン幼少期捏造妄想です。
5.
それから、スタースクリーム達の奇妙な生活が始まった。
路地裏へ帰される事は無かったが、代わりにこの地下基地内に住む部屋を与えられた。
食事も、街や工場へ行ってエネルギーをくすねて来る必要はない。決まった時間に決まった量だけ、きちんと支給された。
雨風を凌げ、明日のエネルギー供給に悩まずとも良い―――それは全て、あのジャンクヤードで暮らしていた頃とは何もかも正反対だ。
煩わしい連中と追いかけっこをする必要も無くなったこの生活を、少なくともサンダークラッカーはそれなりに気に入っている様だった。
スカイワープも不満は無い様に見えたが、代わりに増えた『日課』が気に食わないらしい。
自分達幼年体が、正規の生産ロットを経ていれば必ず受けられたもの。
それは、基礎教育というものだ。
盗みで生活していた自分達には確かに縁の無いものだった。スタースクリームとて、やっと文字が幾つか読める程度だったのだ。
難しい事は他の二機に任せ切っていたスカイワープは、勉強を随分嫌った。
今日も部屋に入って来たサウンドウェーブの姿に、げんなりとした表情を隠さずにいる。
「てやんでぃ、こんなもん知らなくても生きていけらぁ」
今までの生活なら、嫌なものは突っぱねればそれで良かった。
しかしサウンドウェーブの“授業”は、突っぱねる事が出来ない。
ワープを使い逃げた所で、難なく捕まり課題を増やされるのがオチだからだ。
実際初めの“授業”で、スカイワープは逃げた。
そして捕まり、能力を封じられた揚句課題を増やされた。
「そう言うなよ。結構面白いぜ?」
どちらかといえば今までスカイワープに賛同する側だったスタースクリームさえ、素直に“授業”を受けているのだ。
いやむしろ、楽しみにしていると言っても良かった。サウンドウェーブが命じずとも、彼は自分でテキストを開きどんどん先へ進んでいく。
スタースクリームにとって、学ぶ事は純粋に面白かった。
サンダークラッカーはスタースクリーム程熱心に学びはしなかったが、卒なくこなしていた。
故に、“授業”が嫌いなのはスカイワープだけだった。
「何が面白いのかさっぱり判らねぇ」
「あー、お前バカだもんな」
「てやんでぃ!ならサンダークラッカーは理解してんのかよ!」
「俺?・・・んーと、だからこうなって・・・・こう、だろ?」
「何でだ?」
「・・・馬鹿ワープだな」
「ああ、馬鹿ワープだ」
「・・・てやんでぃ!!サウンドウェーブの教え方が下手なんでぃ!!」
「それは一理あるな」
「あー・・・確かに、レーザーウェーブの方が判りやすい」
ぎゃいぎゃいとやかましい幼年体三機のおしゃべりに、サウンドウェーブは黙ってプログラムの課題量を三倍に増やした。
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落ちこぼれスカワ。
音波はカセットロン達がいるから子どもの扱いに慣れてそうな気がしましたが、あえて不器用にしてみました。