※ジェットロン幼少期捏造妄想です。
6.
「なぁ、メガトロンは?」
モニターを片付けるレーザーウェーブに、スタースクリームは彼の肘を掴み訊ねた。
己の腰ほどしかない機体の頭を優しく撫でながら、レーザーウェーブは至極真面目に応じる。
「メガトロン様、だ。スタースクリーム。―――生憎今はサウンドウェーブと視察に出られているが・・・どうかしたのか?」
「・・・」
「スタースクリーム?」
「別に・・・なんでもねぇやい」
「何か言いたい事があるなら、私の口からお伝えしておくが」
「・・・」
レーザーウェーブとしては気を利かせたつもりだが、生憎それはスタースクリームの望みではなかったらしい。
ふてくされたままの顔に、レーザーウェーブは内心苦笑いした。
自分がモノアイ式のトランスフォーマーでなくば、きっとフェイスパーツに表れていただろう。
拾ってきた三機の幼年体に学習プログラムを受けさせる事は、メガトロンの指示だった。
路地裏住まいではまともな教育など受けていないだろう。それでは軍の人材として心許ない。
故にレーザーウェーブも賛成し彼らの教育に一役買っているのだが、正直なところスタースクリームの成長には素直に驚いていた。
元々他の二機に比べ頭は良い様だったが、今は成年体向けのプログラムを個別で学んでいる。
レーザーウェーブは彼を優秀だと褒めた。サウンドウェーブも表にこそ出さないが、それなりに評価している様だった。
多忙な筈の主君も、将来の航空部隊を設立すべく三機の教育には力を入れる様念を押していた。
自らも仕事の合間を縫って態々姿を見せる程なのだ。それがどんなに短い時間であっても、たった一言の労いであっても。
どれ程彼らを重要視しているか、レーザーウェーブには良く判っていた。
期待をかけられる三機の中で、スタースクリームは一番優秀だがそれに比例してミスが多い。
矛盾する言葉だが、スタースクリームを表すには最も適していた。
プライドが高く他者を見下しがちな発言ばかりするが、同時に無意識の庇護を求めているのが窺える。
恐らく、スタースクリームにとって『保護者』というものは、メガトロンが初めてだったのだろう。
今まで軽蔑していた『大人』に、初めて手も足も出ない畏怖を覚え――――同時に彼から与えられる絶対的な庇護を得た。
言葉と矜持で防壁を築いているが、それを取り除いたスタースクリームはやはり幼年体なのだ。
保護者に褒められる事が、認められる事がただ単純に嬉しくて、故にどんどん新しい事を学んでいく。
それ程、メガトロンという存在を慕っているのだ。
そんなスタースクリームの姿に気付いているのは、まだレーザーウェーブだけかもしれない。
スカイワープの様にあからさまな恭順は見せていないが、判る者には判る。
跳ねっ返りの性格に手を焼く事もしばしばだが、彼にとってスタースクリームは可愛い存在だった。
膝を折り目線を合わせてやりながら、レーザーウェーブはこっそりと囁いた。
「お前の優秀さはきちんと報告している。『これからも期待しているぞ、スタースクリームよ』」
「っ別に、俺さまが優秀なのは当たり前の事なんだよ!」
初めてメガトロンが己を褒めた時の台詞をそのまま真似され、スタースクリームは顔を赤らめながらきゃんきゃんと喚いた。
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典型的な褒められて伸びるタイプ・子スタ。
光波さんはD軍のお母さんです。