※ジェットロン幼少期捏造妄想です。
8.
その日与えられたプログラムは、今までに学んでいたものとは随分レベルが違っていた。
それでも、スタースクリームがこれまでに知り得た知識の中で解く事が出来る。
それが面白くて夢中になり解き続けたのだが、回答を提出してもサウンドウェーブは何も言わなかった。
いつもならば回答後はその場で待機を命じられ、採点を待つのだが――――青い機体は黙って退室を促すだけだった。
「おかえり」
「ん」
部屋で待っていた水色の機体に、スタースクリームは軽く手を上げた。
自分が個別にプログラムを受けていた間、同型機達は射撃訓練を受けていたらしい。仄かに香る火薬の匂いを、嗅覚センサーがキャッチした。
「あいつが来てたのかよ」
あいつ、が誰を指すのかなど訊ねるまでもない。
既に判ってるサンダークラッカーは苦笑しながら頷いた。
「お陰でスカイワープがいつも以上にはしゃいで、真剣に訓練受けてたぜ」
「それでもうスリープに入ってんのかよ」
寝台で眠る機体に鼻を鳴らすが、黒色の同型機は起きる様子も無い。
ただ時折めがとろんさま、と嬉しそうに寝言を洩らすだけだ。
鼻をつまんでやろうかと思案するスタースクリームだが、それを実行する前に横からサンダークラッカーが手を伸ばした。
その手に握られているのは、支給されているオイルボトルだ。
当たり前の様に受け取り補給すると、ブレインの奥に染み込む様な感覚を味わった。
確かに、いつも以上にサーキットを回転させた。エネルギー補給が必要だと判っていたが、付き合いの長い同型機は既にそれを察していたらしい。
「で?」
「あ?」
「どうだったんだよ、手応え」
「俺様を誰だと思ってんだ。スタースクリーム様だぞ」
完璧に決まってる、と言い切れば、水色の機体は肩を竦める。
「んじゃ、楽しかったわけだ」
「まぁな」
新しいものを知るのは楽しい。
自分の実力を試すのはもっと楽しい。
そうやってスタースクリームはどんどん先へ進んでいった。
今のサンダークラッカーやスカイワープとは別に教育プログラムを受けていて、三機共に学ぶのは射撃訓練ぐらいのものだ。
――――ここに連れてこられた時に比べ、自分達は随分変わった。
今の自分達は、もう幼年体と呼べるサイズではない。
成年体のカテゴリに入るにはまだ若いだろうが、それでもあの頃に比べれば随分成長したものだ。
ベッドに腰掛け、今日のプログラムがいかに難解でいかに自分が優秀であったかを自慢げに語るスタースクリームに、サンダークラッカーは適当に相槌を打つ。
何を言っているかは半分も判らないが、今は眠るスカイワープと、嬉しそうに語るスタースクリームの顔を眺める事が楽しかった。
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お兄ちゃんポジションサンクラ。
それにしてもスカワ良く寝るな・・・・すいません。